実質賃金8か月連続マイナスの衝撃|物価高時代、配当投資家が考えること


はじめに

最近、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」が話題になっています。
名目上は現金給与総額(ボーナスや手当を含む給与全体)が連続して上昇しているものの、物価高の影響を除いた実質賃金は、なんと8か月連続で前年同月比マイナスという結果に。

僕もこの数字を見て、「名目だけで喜んでいても、実際の生活実感は厳しいな」と感じました。
この記事では、最新統計をもとに「なぜ実質賃金は下がるのか」「どんな背景があるのか」、そして投資家としてどう向き合うかを僕の視点で整理します。


現状整理:名目賃金と実質賃金のズレ

まずは基本から。
現金給与総額とは、基本給や手当、ボーナスを含む労働者の給与の合計額です。
一方で実質賃金は、それを物価変動で調整した「購買力」を表す指標です。

最近の統計を見ると、次のような傾向があります。

  • 現金給与総額は44か月連続で上昇
  • しかし、実質賃金は物価高の影響で8か月連続マイナス
  • 特に特別給与(賞与・手当など)の変動が大きく、実質値を押し下げている

つまり、「給与は上がっているのに、暮らしは楽にならない」。
数字だけ見るとプラスでも、家計の実感はマイナスというのが今の日本の現実です。


なぜ賃金が上がっても実質賃金は下がるのか?

僕が考える理由は、大きく4つあります。

① 物価上昇のスピードが早すぎる

食料・電気・ガソリンなど生活必需品の値上げが止まりません。
名目賃金の伸び(+2〜3%)に対して、物価上昇率(+3〜4%)が上回ることで、実質的な購買力が下がる構図です。

② 特別給与の減少

賞与・手当などの一時金が前年より減ると、名目上の伸びが鈍化。
統計では、5月の特別給与が前年比でマイナスだったことも実質賃金低下の一因とされています。

③ 労働時間・残業時間の減少

残業や休日出勤が減少すると、総支給額が下がりやすくなります。
働き方改革の影響もありますが、短期的には「実入り減少」として表れやすい部分です。

④ 為替・輸入コストの影響

円安が続くと、輸入品や原材料価格が上がり、物価が押し上げられます。
企業収益にはプラスでも、個人の生活コストにはマイナスに働くことが多い。


業種・地域で見える格差

実質賃金のマイナスは全国一律ではありません。
僕が気になるのは、業種間・地域間の温度差です。

  • 製造業:海外需要や為替の恩恵で比較的堅調
  • 小売・飲食・サービス業:人件費上昇+消費鈍化のダブルパンチ
  • 都市部:賃上げが進むが、生活コストも上昇
  • 地方:賃上げが遅れがちで、実質賃金の下げ幅が大きい

数字だけでなく、生活圏ごとの「体感景気」にも差が出ているのが特徴です。


僕の投資視点:賃金低迷時代の戦い方

僕はまだ金(ゴールド)を保有していませんが、こういう時期こそ資産の守り方が大事だと感じています。

🔸 ディフェンシブ株を中心に

電力・通信・医薬品など、生活に直結する企業は業績が安定しやすい。
消費が落ちても需要が途切れない分野に投資の軸を置いています。

🔸 高配当+増配企業に注目

単に利回りが高いだけでなく、**「増配余地があるか」**が重要です。
僕はキャッシュフローが強く、配当性向がまだ上がる余地のある企業を優先しています。

🔸 守りの分散を意識

株式だけでなく、外貨建て資産や将来的な金投資にも関心を持っています。
「攻め」と「守り」のバランスを取ることが、実質賃金が伸びにくい時代のリスクヘッジになります。


投資家が意識すべき3つのキーワード

  1. 実質購買力の低下 → 消費関連銘柄の業績リスクに注意
  2. 名目賃金の上昇 → 一部の製造・輸出企業には追い風
  3. 政策・金融動向 → 日銀の姿勢転換が株式・金利・為替を左右する

ニュースを見るときも、「この動きは実質賃金にどう影響するか?」という視点を持つと、マーケット全体の流れを読みやすくなります。


まとめ|数字の裏にある“生活感覚”を読む

賃金のニュースって、どこか他人事のように感じやすいですよね。
でも、実質賃金=僕たちの購買力です。
投資家として数字を見るときも、最終的には「生活の実感」に戻る必要があります。

僕がこの記事を書いて思ったのは、

「投資って結局、“生活者としての感覚”をどれだけ大切にできるか」
ということ。

賃金の低下はネガティブなニュースに見えますが、
見方を変えれば「どの企業が本当に強いか」を見極めるチャンスでもあります。
配当で支えられながら、この難しい時代を一緒に乗り越えていきましょう。

※本記事は僕個人の考えをもとにしたもので、投資助言ではありません。投資判断は自己責任でお願いします。


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