はじめに
ニュースを見ていると、世界情勢がどんどん緊迫しているのを感じます。
ウクライナ情勢、中東の混乱、台湾周辺の不安定化──。
僕自身、投資家として「防衛」というテーマを避けて通れなくなったと感じています。
特に最近では、防衛予算の増額が現実味を帯び、防衛関連株が一時的に急騰しました。
でも、2025年の今になっても「もう遅いのでは?」という声も聞きますよね。
この記事では、今から防衛関連株を買うべきか? という疑問に対して、
僕の投資スタンスと配当重視の視点から考えをまとめます。
1. なぜ防衛関連株が注目されているのか
まず背景から整理します。
政府は防衛費をGDP比2%へ増額する方針を打ち出しており、
これまで「1%枠」に縛られていた時代から明確に転換しました。
これは単なる数字の話ではなく、防衛産業の再評価につながっています。
防衛関連企業はこれまで、国の予算依存度が高く、収益構造が限定的でした。
しかし今後は、
- 輸出解禁(装備移転三原則の見直し)
- 同盟国との共同開発(ミサイル・戦闘機など)
- 技術転用(宇宙・AI・センサー分野)
といったテーマが加わり、「成長セクター」へ変化しつつあるのです。
2. 僕が注目している防衛関連銘柄
ここでは、高配当・安定業績・政策支援の3点から注目している企業を紹介します。
三菱重工業(7011)
日本の防衛産業の中核を担う企業。
航空機、艦船、ミサイル、防空システムなど多方面に強みがあります。
2024年度の予想配当利回りは約2.6%。
数字だけ見ると物足りないかもしれませんが、
国家予算と直結する受注が多く、長期的な安定性に魅力を感じています。
特にF-3後継戦闘機(英伊との共同開発)など、中長期テーマ株としてのポテンシャルは高いと見ています。
IHI(7013)
エンジン・防衛装備・宇宙関連の技術を持つ企業。
防衛装備品の需要拡大に加えて、航空エンジン事業の回復も追い風です。
配当利回りは約2.8%前後。
IHIはリスク分散が上手く、民需・防衛両方の収益バランスが良い点が特徴。
僕が個人的に注目しているのは、宇宙分野への拡大です。
衛星防衛や監視技術はAIとも相性が良く、
“防衛×テクノロジー”の中心にいる企業だと感じます。
川崎重工業(7012)
潜水艦・ヘリコプター・無人機開発など幅広い領域をカバー。
国内外の安全保障政策に直接関わる案件も多い。
配当利回りは約3.0%前後。
AIドローンや自律航行技術など、“防衛のDX”とも言える取り組みが進んでいます。
川重は「防衛+エネルギー+輸送機器」の3本柱があり、
景気の波に強いという意味でもディフェンシブ高配当株として優秀です。
3. 防衛関連株に潜むリスク
防衛関連銘柄は国策テーマであり、注目されやすい一方で、
投資リスクも独特です。
政策リスク
防衛予算は政府の方針次第で増減するため、政権交代や外交情勢によって流れが変わる可能性があります。
依存度の高さ
受注先がほぼ「防衛省一択」という構造。
コスト上昇分を価格転嫁しづらいケースもあります。
倫理的リスク・投資マインド
防衛関連という性質上、投資家によっては「持ちたくない」と感じるテーマ。
僕も最初は少し抵抗がありました。
でも今は、「防衛=国を守るインフラ」と捉えています。
4. 配当投資家の視点:国策テーマとどう向き合うか
僕のように配当を重視する投資家にとって、防衛関連株は少し難しいテーマです。
値上がり期待だけでなく、**配当を通じて“国家インフラに投資する”**という視点が必要になります。
僕が意識しているポイント
- 一時的な思惑買いではなく、政策方針と中期防衛計画をチェック
- 高配当だけを狙うより、「国策+収益安定」を重視
- 民需比率が高い企業を選び、景気サイクルの影響を和らげる
つまり、“防衛一本槍”ではなく、防衛×エネルギー×輸出などの掛け合わせでリスクを分散するのが現実的です。
5. 僕の見解:「もう遅い」かどうか
結論から言うと、まだ遅くはないと思っています。
短期の過熱感はあるものの、防衛産業の構造変化はこれからが本番。
- 政府の中期防衛計画は2030年頃まで続く
- 共同開発や輸出拡大が収益源を多様化させる
- 長期的に見れば、防衛産業は“社会インフラ”化していく
つまり、株価が一時的に落ち着いた今こそ、
“配当を受け取りながら長期で付き合う”タイミングだと僕は感じています。
6. 僕が重視する選定基準
観点 | チェック内容 |
---|---|
配当利回り | 2.5〜3%以上が目安 |
配当性向 | 無理のない範囲(50%以下) |
政策支援 | 中期防衛計画・補正予算との連動性 |
民需比率 | 40%以上(事業安定性) |
海外展開 | 輸出・技術供与など多角化要素 |
これらを総合的に見ると、
三菱重工・IHI・川崎重工の3社は依然としてポートフォリオ候補に値すると思っています。
まとめ|国策×配当=長期で報われる投資
防衛関連株は、短期の材料株ではなく、**国の方向性に連動する“社会基盤株”**です。
地政学リスクが高まるほど、国防インフラは欠かせない存在になります。
僕は「戦争を望む投資」ではなく、
「平和を維持するための防衛」へ投資する
というスタンスで見ています。
国策テーマの波に踊らされず、地に足のついた配当戦略を取ること。
それが、長期で生き残る投資家の基本姿勢だと思います。
※本記事は僕個人の考え方に基づくもので、投資助言ではありません。投資判断は自己責任でお願いします。